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一生涯5,000万円生活

2013-07.31 WedBRAVA!!

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 思い出の劇場が廃館の危機に! こうなったら自分達で劇団作って演劇を目玉に客を呼ぶしかないぜっ!!

 という意気込みは買いますが、それで上手くいくなら苦労はしません。 そう、苦労しないのです。

 lightの「かみのゆ」と原画、ライターともに概ね同じ。 あちらの立ち絵は独特のスタイルだったが、今回は普通。 折角風呂屋が舞台で裸体や下着姿を立ち絵で拝めるというのに全然エロっちくなかった前作と違い、上半身チューブトップブラでつなぎみたいなアウターを腰まで下げて着ているみなもは、腋と下腹部がめちゃめちゃエロい。 あおいの練習着も上半身はビキニみたいなもんだが、乳の形はあまり美しくない(あおいが、ではなく絵柄的に)ので、微乳のみなもの独壇場。
 シナリオやテキストは、やっていると「ああ、かみのゆと同じ人なんだなぁ」と思う。

 システムも大体一緒。 テキストウィンドウと吹き出しを併用して漫画的な会話を表現している。 回想はHシーンだけでなく全てのシーンが登録されるので、セーブのためにゲームを中断することなくプレイできる。 のだが、そういうことはクリア前に明示してほしいものである。

 幼なじみヒロインが2人いるが、シナリオの分量からしてもサブ扱いだと思う。 メイン3人は面識のないところから出会い、劇団に勧誘し、徐々に仲間として絆を深めていって、舞台を成功させるという王道的ジュヴナイル物語だ。 ちょくちょく問題が発生したり邪魔が入ったりもするが深刻なものはないし、恋愛関係のいざこざもなく、あっさり爽やか風味なので、ストーリーを楽しみたいとか、友情の中にもドロドロした部分を求める人には物足りないかもしれない。
 私は、気楽な方がいい。

 イチャラブというほどの描写はないが、ヒロインはとても可愛く描かれている。 ひとえに主人公の人柄のおかげだろう。 土足で踏み込んだりはしないが、物怖じせずに他人と関わりを持とうとする。 歳不相応に気を回して、驚くほど私心なく人のフォローに全力で当たる。 それをこれ見よがしではなくさり気なくするのがまたにくい。 こういう男が側にいたら、女の子は嫌でも可愛くなるでしょう。

 素人劇団の演劇がすんなり上手くいきすぎだ、というところに突っ込まなければ良くできた作品だと思う。 まあ、そこをリアルにすると、失敗して終わるか、延々ストイックに猛練習するだけになって面白くもなんともない。 目的は劇団として成功することではなくて、閑古鳥のなく劇場に往年の賑わいを取り戻すことなので、そこを分別くさい顔して突っ込むのは野暮というものだ。




 とはいえ、私の感想は悪くないけど面白くもない、だった。 「かみのゆ」のときにも思ったけど、同じ不満を今回も抱くことになった。

 もっとも大きいのは、悪役がいないことだ。この作品には善人しか出てこない。 シナリオ的にいかにも悪役っぽい立ち位置のキャラクターは、ちゃんと出てくるのだが。
 まずはプロローグの雪乃父・叔父。 一筋縄ではいかない妹みなもがいない間に、大人しくて押しに弱い姉しずくに、劇場の改築を迫る。
 次は演劇部。 過去の事情から女子部員のみがコンクール出場だけを目的に練習に励むというのは構わないが、ごく普通に訪れた主人公に対してやたら敵対的な対応をしたり、帰国子女で日本語に堪能でないナナミに対して厳しいどころか単なる罵倒か嫌がらせというレベルのシゴキをする。 その後もやたら言動が自意識過剰で無闇に排他的である。
 最後はあおいの父親。 幼い娘をアイドルに仕立てておきながら、親の都合で娘の人生を勝手に決めてはいけないと、“勝手に”休業させ、普通の女の子として生きていく選択肢を与えたと言いながら、やれ肌や髪の手入れはきちんとしろだの節制した生活がどうのと、明らかに芸能界に復帰することを前提としたことばかり言う。 劇団で演劇やっているところを無理矢理連れ戻して軟禁だってする。

 どれも、主人公達とは真っ向から対立する嫌な連中に見える。 嫌な奴が出てくると不愉快になるからやめておこうというのはおかしな話で、こういう存在はシナリオには必要だ。 対立があるからこそ、ドラマが生まれるのだから。 ところが、言動は一見嫌らしいが、その実全然悪人ではないのである。
 父や叔父は娘(姪)に厳しく難しい劇場運営で苦労をさせたくないと心配しているだけ、演劇部は演劇に真摯にストイックに取り組んでいるのであって、衝突は考え方の相違が原因、あおいの父親も女優を目指す娘を気遣う故...望みを打ち砕くような言動があっても、そこに悪意はないのだ。 
 そして、主人公達もそれをちゃんと理解して受け入れている。 人それぞれ考え方は違うのだから、自分と違うからといって否定してはダメだとか、子供の心配をするなんて良い親じゃないかとか。

 これじゃあ、ダメだね。 ぬるま湯過ぎる。

 劇場が危機的状況にあるという設定だが、実のところこれは全く感じられない。 もし、冒頭の父・叔父との話し合いで、向こうが「学校でたばかり(と現役学生)の小娘に何ができる!」と強硬に劇場を潰しにかかろうとしたらどうだろうか。 何かにつけてちょっかいを出されかねないという状況になれば、登場人物も、プレイヤーも危機感を感じるだろう。
 最終的に親をやり込めるか、親娘が和解するかは、親のキャラクター設定次第でどちらでも可能だ。
 劇場を売却して金が欲しいというろくでなしにすれば悪者だし、子供は親の言うとおりにすれば一番幸せになれるのだという考えを持つなら、子供を心配する親ということになる。

 演劇部は、劇団BRAVA!!とは異なる考え方を持った集団なので、直接対決することはなくてもライバル関係にあるといえる。 主人公は当初から反発しつつも、自分とは違う演劇部の考え方を認めており、これでは対立関係にならない。 多様な考え方を認められる主人公はとても素晴らしい人間だと思うが、シナリオ的には物分かりが良すぎる。 ここはハッキリ否定して欲しい。 少なくとも、ナナミが傷ついて退部した時点では敵対すべきだ。
 BRAVA!!のようなやり方でも観客を楽しませる演劇を上演できることを見せつけることで、演劇部に自分達を認めさせる。 その上で、今度は演劇部の劇の素晴らしさ見て、彼女らは彼女らのやり方で真摯に演劇に取り組んでいたのであって、単なる嫌な奴らではなかったのだと分かり、和解して仲良くなる。 ちょっとベタすぎて工夫がないが、とにかく一度はちゃんと対立した方がいい。
 作中の演劇部は何となく和解してしまったので、どうにも嫌な連中という感じが抜けきらなかった。

 あおいの父親も同様だ。 主人公は最初から娘を心配する父親という見方をしているが、ここはあおいが親のエゴの犠牲になっているということでなければ話がつまらない。 というか、主人公がそう見たら親娘の話に首を突っ込む理由がないし、あおいも親の考えを把握して理解しているのなら、なぜ反発しているのかが全く分からない。 そんな状況で、月夜のバルコニーに佇むヒロインと、木に登ってまでしてなぜ会話しなければならないのか。
 父親が娘のための言いつつ、実は自分の考えを押し付けているだけだからこそ、娘は反発するのであり、男は彼女の元へ馳せ参じるのである。 だからこそ、素人劇団で仲間を得て輝く姿を見たとき、父親はひとりよがりに気付き、自らの意志で道を切り開いた娘の成長を感じ、己の不明を恥じるのではないか。

 この作品の難点は、主役に理解力がありすぎることと、脇役の考えと言動が綺麗すぎることだ。 おかげでシナリオがダレるダレる。 優しい物語にしたいのかもしれないけれど、それは優しい人しかいない世界ではないと思う。 悪人は酷いことをして、いずれその報いを受けて惨めに地面を這うことになる。 そこでそのまま野垂れ死んだりせず、酷いことをされて恨んでいるはずの人が、優しく手を差し伸べてくれる。 そういうのがいいんじゃないかな。
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