FC2ブログ

一生涯5,000万円生活

2012-11.04 Sun恋色マリアージュ

Time[22:42] Comment[0] Trackback[0]
 なにこれ、面白いじゃん。 ま~まれぇどのゲームをこれ程楽しめる日が来るとは...しかし、公式のストーリーもキャラ紹介も全然内容と噛み合ってないじゃないか。 面白そうでつまらないというのはよくある話だが、面白いものをわざわざつまらなそうに広報する意味ってなに?

 プレイ前は、メインヒロインである美穂乃の設定がネックだった。 親の決めた結婚が嫌で反発するのは当然だし、相手を受け入れられないのも分かる。 けれど、同じく勝手に決められている主人公の琴城直を敵視するという考え方は好きじゃないんだ。
 『旅館のスタッフや主人公の友人たちからの評価はイマイチ』とか『旅館のスタッフ曰く、残念な嫁』って公式の紹介にあるから、直を毛嫌いする美穂乃と慕う旅館スタッフが反目する間で振り回されるスラップスティックコメディなんかなぁ、と。 主人公擁護派がいれば我慢してプレイできるだろうが、メインヒロインを好きになれないのではとても楽しめないと思っていた。 しかし、全然違った。 美穂乃、最初から可愛いじゃん。

 というか、美穂乃をイマイチ評価してなかったり残念と評するキャラがいないんだけど。 「嫁になる気はない!」という美穂乃の宣言にねここなんて喜んじゃってるし、鹿島姉妹もからかう気満々だ。 ゲーム的に直の友達って友矢しか出てこないけど美少女婚約者を羨ましがってて、クラスの女子はむしろ“あの”琴城の婚約者なんて可哀想って評価である。 美穂乃に無条件の味方をするはずの久遠も、直のことを初対面から認めており、周囲は生暖かく見守ってくれる環境となっている。

 肝心の美穂乃も、反発はしているものの根本的にポンコツなようで、反抗的態度といっても毒舌を繰り出す語彙も勢いもなく、ようやく思いつくのは幼稚園児レベルのことばかりで、直に手玉に取られている。 直の名前を口にしたくないから「ヘンタイ」呼ばわりしようとして「ご褒美です」と返されて、「旦那様」という呼び方を思いついてドヤ顔したり、同じ部屋で寝ることになって布団の間にバリケードを築くも寝入ったら自分から直の布団まで転がってきて直を抱き枕にしたり、別の意味で残念な嫁である。 残念可愛い。
 まあ、すぐにおどけてセクハラ発言するところはともかく、仕事に対する真摯さと能力の高さを間近で見せられては、個人的な好悪感を別にしたら誰であっても直を評価しないわけにはいかない。 これほど「やればできる」を体現している主人公も珍しい。 普通は、名実ともに優秀であるか、やたら持ち上げられているけど評価に見合う行動が見られない奴、敢えてその辺には触れずにおく、のどれかだもの。
 主人公がもっといい加減な奴だったら、美穂乃も可愛さを見せることなく嫌な女になっていたことだろう。 この主人公にしてこのヒロインありだ。

 ちなみに、キャラ紹介がいい加減なのは他のキャラも同様で、ねここは『なにかにつけて主人公の世話を焼こうと』しないし、久遠は『美穂乃のこと以外はどうでもいいとキッパリ割り切ってしま』ったりせず他の人にも気を遣うし、鹿島姉妹は『小悪魔じゃなくてマジ悪魔のつぐみ』とか『壊れたスピーカー・弾丸トークのひばり』と呼ばれない、姦しいけどそこまではっちゃけてない。 剛健は強面なのは見た目だけで役どころは三枚目だし、友矢も直を『敵視』しているは言い過ぎで単なる構ってちゃんである。

 この広報資料っていつ誰が作ったの? ってくらい内容と齟齬があり過ぎる。 構想段階の推敲資料から拾ってきたんじゃないの。 ゲームやって、CGやシナリオじゃなくて広報にケチつけることになるとは思わなかった。

 と、私にとっては良い意味で看板に偽りがあったのはいいとして、内容にも触れておこう。

 最初に書いた通り、テキストは読んでいて面白い。 老舗旅館を皆で切り盛りするという面がよく描けており、1人アウェイの美穂乃をそこに巻き込むことで、主人公に対する負の感情を表出する機会を上手く奪っている。 これがそのまま続いていけばずっと楽しめたのだが、なかなかそうはいかないのが現実だった。
 最初におかしいと思うのは、ねここがお客さんの荷物を落として、古伊万里を割ってしまった後の対応だ。 客に対して弁償するのはいいとして、その損害をねここに負担させるのはおかしい。 もちろん、ねここに負担させて責任を取らせつつその分を別にフォローしており、主人公の気遣いを主張したいというのは分かる。 しかし、そもそも故意や犯罪行為でない限り、職務中に生じた損失を個人に負わせることはないのであって、懲戒として減給はあっても賠償は有り得ない(まともな組織であれば)。 だから、お客が許してくれた以上、ねここは直か女将さんから不始末を叱責されれば十分責任も取ったし罰も受けたことになる。 女将さんに隠すつもりがないのであれば、直が自腹を切る必要もない(旅館の経費だ)。 直の優しさを示すエピソードなのだろうが、現実よりも厳しい処分をねここに下してそれをフォローするのではマッチポンプであって、全然良い話じゃない。
 落ち目の旅館を盛り立てていこう! と皆で相談する件もおかしい。 何年も前に作って放置していた時代遅れのHPを手直ししようとするのはいいとして、旅館の売りの1つは料理だから名物を作ろうとなって、主人公が思い付いたのはラーメン、そして賛同する一同。。。いやいやいや。 老舗高級旅館で長年働いている面子が揃ってラーメンって。 雑談の中の冗談なら分かるけどさぁ。
 そして、ルリアの登場で折角の舞台設定はいよいよグダグダになる。お客として宿泊する彼女を本人の希望で普通に扱うように、何なら仕事させても構わないと女将さんから言われるが、これも変な話だ。 客の要望とはいえ、悪く言えばぞんざい扱うわけで、他の客の手前こんなことを認められるはずがない。 それまでに描かれた女将さんや旅館の格式を考えれば、有り得ない対応である。 スタッフ一同が客と若旦那の会話を盗聴するというのも、それまでの仕事への真摯さを考えると驚愕であった(あれってコンクリートマイクかなぁ)。
 美穂乃を口説いてくる客への対応も間違っていると思う。 旅館に格式があれば、客にもそれが求められるのであって、何をしても許されるわけではない。 やりすぎれば客であっても叱責されるものだ。 さすがに美穂乃が言うのは憚られるだろうが、直か女将の立場であれば毅然と対応して、それで揉めるなら出ていってもらうくらいのことはしていい。 恋人ごっこや新婚ごっこはお約束のイベントではあるが、あまり上手い導入ではない。

 そう、書けば書くほどメッキが剥がれていくんだよね、これ。 ライターがものを知らないということではなくて、コメディなシナリオと格式ある老舗旅館という舞台設定が完全に反発している。 序盤は真面目にやってるだけに、途中で雰囲気重視にすると、コメディではなくていい加減なだけに見えてしまう。
 わずか6人+αで切り盛りしてる設定だから舞台が旅館メインにならざるを得ないけど、現実にこのスタッフ数は少なすぎるのでモブ従業員がそこそこいることにして、私生活を前面に出せば良かったんじゃないだろうか。 メインキャラは住み込みで働いていることにすれば、仕事が終わった後も同じ時間を過ごすことができる。 私室を盗聴するのであれば、それはそれで非常識だけど、旅館の仕事とは一線を画しているのでその場のノリで済む。

 個別に入るとさらに納得いかない展開が続く。 とりあえず、何の伏線もなくヒロインに驚愕の事実が! というのはやめてほしい。 特にねここ。 せめて周知の家族関係くらい共通ルートで言及しててもいいじゃないか。
 それは措くとして、基本的に美穂乃という婚約者がいる以上、他のヒロインルートではそこの清算が問題になるのだけれど、主人公は義理堅いんだよね? ねここにそう言われてたし、久遠の誘惑も婚約者がいることを理由に撥ねつけていた(そしてそれが久遠に評価された理由である)。 なのに、ルリアルートでは美穂乃のことについては何の逡巡もなくルリアとエッチするのはないって。 ルリアを好きになるのはいいけど、セックスする前に義理と人情が秤にかかるシチュエーションでしょう、これ。
 しかも、その後ルリアが美穂乃に対抗するために出てきたのが、小さい頃に子供同士で作った結婚の誓約書。 こういうのを後付けっていうんじゃない? 女将さんも「こんなものが有効だとは言わないけど」と言っていたけど、私もそう思う。 そんなもの持ち出すくらいなら、ルリアが自分のことを直のフィアンセと勘違いした、手の甲への口付けを理由にした方が、少なくともプレイヤーへの説得力はある。
 そしてこの誓約書、ねここと鹿島姉妹の分もあるってさ。 それ、ルリアじゃなくてハーレムルートへの入り口でしょ、ぜったい。 なんでそんな大事な小道具を個別ルートで使っちゃってるの。 色々と台無しだ。

 エロについては評価したいところだけど、エロゲーとしては微妙なところである。 結構言われてるけど、美穂乃が初エッチで直がコンドームつけていたのに怒って、ゴムを外すと中の精液飲んだ上で生での2回戦目を要求するのは、さすがにやりすぎだと思う。 コンドームから精液飲むのってごっくんよりも食ザーに近い特殊な行為だし、かなり上級プレイだから、普通は引く。 まあ、ゴム付けてたのは最初だけだから、やるとしたらそこしかタイミングがないんだけど、処女がやることじゃないよ。
 それ以外のHシーンも、独立させてみればかなりエロくできているんだけど、それまでのゲーム内容を考えると、ヒロインと主人公の姿勢がエロ過ぎる。 何が2人をそこまで貪欲にさせてるの? ってくらい激しい。 それでいて、割と普通のエッチなんだよね。 脇コキとかニーソコキはあるけれど、激しいだけのオーソドックスなセックスなのはマイナス要因である。
 あー、あと一番重要なのが呼称だね。 これはHシーンだけじゃなくて恋人になってからの話だけど、美穂乃とねこことルリアが主人公を「直さん」と呼ぶようになるのがもの凄いガッカリ感なんだ。 「旦那様」「ぼっちゃん」「お兄様」の方が絶対いいよ。 名前呼ばれる方が嬉しい人の方が多いという統計があるのだろうか。 そうだとしたら、キミらおかしいって。
 美穂乃&久遠ルートがあって、久遠さんが「ご主人様」って呼んでくれるようになったらなぁ、と思う余裕もないくらいに、この呼称変化はショックだった。

 最後に。 システムがダメダメだった。 テキストを読んでいくだけの簡単なゲームだから、気にしなければそれだけのことなのだが、それにしてもちょっと不親切だったり杜撰だったりする。
 一番気になるのは、既読判定の単位が大きすぎることだ。 おかげで、共通ルート内のヒロイン別イベントが終わった後もしばらく読んだことのある文章をスキップすることが出来ない。 強制スキップして未読文章飛ばしたら嫌だなぁと思って読んでいくと、結局そんなものはなくて、余計な手間を取らされたことが分かる不親切設計だ。 もう一つ、セーブページを1Pずつ順番にしか移動できない。 これが地味に面倒くさい。 普通は画面の上か下に、例えば1~10まで番号タブがあって、タブをクリックするとそのページに飛べるようになっているものだが、このゲームはそれがない。1ページ目のデータをロードして、次に10ページ目にセーブしようと思うと、長々と次ページボタンを押し続けなければならない。 これ、UI設計間違ってるって。

 共通ルートは多少の違和感はあるものの、楽しんでプレイできた。 個別に入るとちょっと。 Hシーンは、本編中でなくて回想でシナリオとは別個のものと考えて見ればとても良い。
 鹿島姉妹が攻略対象でないのは、メインヒロインのキャラデザを考えればそこまで目くじら立てることではないだろうが、ハーレムルートがないのは勿体ない。 最初のうちは舞台や主人公の性格から考えもしなかったけど、個別ルートやHシーンの内容を知ると、ヒロイン達が身体を使って主人公を奪い合う展開もありじゃないかと思える。

 もっと面白くなったろうにと言いたいところだけど、ま~まれぇどとしてはこんなものだと思うので言うまい。
 シナリオが尻すぼみになるところをエロで誤魔化したというか、エロゲーなんだからそれでいいのかな、という作品であった。
スポンサーサイト